「ヤッホー!ケンケン!」 作:田島聖司




オイラの里親、決まる。


 オイラは札幌の山の中のある家で生まれた犬です。かあちゃんはキツネと結んでオスのオイラが生まれたとご主人様は言う。オイラの兄弟は七匹。で、かあちゃんのそばで楽しく兄弟達とジャレあって毎日を過ごしていた。そう・・・、平和でのどかな日々だった・・・。ところがだ!ある日の事・・・。ご主人様以外の人間、二人がやってきた。人間の大人と男の子だったような記憶がある。でも、オイラはいつもの様に、兄弟達といつもの様にジャレあって遊んでいた。
 ご主人様はやってきた男の子に、オイラ達から「好きな犬を連れてっていい」と言い出した。ショックだぁ〜。オイラにしては、ショックでご主人様を信用できなくなったンだぁ。そンでもって、オイラは連れて行かれるのがイヤだったから、その男の子の手を軽く噛んでやった。「ザマミロッ!」・・・と、ところがだ!オイラ、嫌味でやった事が裏目に出てしまった!(またまた、ショック。2連発!)「この子犬がいい!元気がよさそうだよ!」と子供はオイラを抱き上げた。オイラは観念して、おとなしくしていた。さっそく、見知らぬ人間二名の手によって、オイラは別転地に連れて行かれたのだ。家に着いて、男の子はオイラを抱っこして車から降りた。家に入り、ダンボール見たいな箱に入れられ、逃げるくらいの高さはなかった。人間の子供は、オイラにミルクをだした。でも、オイラはパニック状態で、必死にかあちゃんのこと・・・兄弟達の事を、思い出していた。しばらくして、自分一人だっていうことに気がついた。「クーン、クーン」と泣き、「オイラをかあちゃんのところに返してくんろっ!」と叫んだが、人間は犬語がわからンので相手にされない。男の子がやってきて僕を抱き上げ、首輪をつけた!はじめて、首輪をつけられオイラは「ここで生きて、死ぬんだ」と悟った(犬が悟るかぁ?)。首輪に散歩用のロープがつけられ、外に出た。空には、夕焼け雲が見えた。オイラは悲しみを忘れ、飛び回った。うれしかったンだぁ〜、ほんとうに・・・。一時間がたち、あたりも暗くなり男の子は家に戻った。そしてまたまた、あのダンボールに入れられた。ほっとしたのか、オイラはつい、うんちをしてしまい、おまけにミルクに足を突っ込んでしまった。こうして、オイラはこの家にお世話になることとなったのである。
 次の日、退屈な日々が続く・・・。子犬のオイラは眠ってばかりいた。そうして夕方になりまたまた、男の子が散歩に連れてってくれた。今日は少し遠くにある公園までの散歩。オイラはしっぽをフリフリしながら歩いた。電柱や木が合ったら、ションベンをかけた・・・。一人前に・・・。
 散歩は一日一回は連れてってもらえた。でも、子犬のオイラは散歩のとき以外は、ほとんど一日中、寝てばかりいた。


子犬のオイラ、はじめての冬。


 そうして、五ヶ月くらいがたち、外に雪が積もる季節になっていた。オイラに犬小屋ができて、外で暮らす事になった。男の子は毎日、オイラを散歩に連れてってくれたんだぁ〜。それも、寒い季節なのに・・・。雪は、オイラにとってはじめて見るもの。鼻に白い雪が舞い降り、解けた。冷たかった・・・、いやぁー雪って、こんなモンだったのか。なんだかオイラ、嬉しくなってきたワン!(♪犬は喜び庭かけまーわり、ネーコはコタツでまるくなる)まさに、とびまわっている犬である。
 今日は、雪が降らない良い天気。男の子はこの時期、家に良くいた。小学校の冬休みらしい(どうして犬が知ってるの?)。オイラは連れてこられるときよりも大きく成長した。おいら達は一年ぐらいで、大人の犬になる(あんまし、成長しないワンコロもいるそうだが)。散歩していると、近くに恐そうなオスの白いワンコロがいた。オイラは恐さを知らずに近づいたら、「ワンワン!」と、大きな声で怒鳴った。お、恐ろしかった・・・。はじめて、オイラは恐さをこの時知ったのだ。オイラはこの犬を「恐怖のオッチャん」と呼んだ。
 オイラにいつのまにか名前がつけられた。「ケンケン」という名前だ。これは「犬犬」でケンケンと呼ぶんだそうだ。迷惑だぁ〜!オイラに、ちゃーんとした名前をつけてほしい。ケンケン?お笑いもいいところだ!せめて、ジュリアーノとか林太郎とか、まともな名前にしてくれー。
 雪はどんどこ、降り積もりオイラは外に出て、小屋の周りを足で踏んで小屋穴がふさがらないように、必死にやった。吹雪きの日も、超っ〜寒い日も・・・。ご主人は、オイラの小屋の周りを雪かきしてくれない。なんて、いじわるな、いいかげんな飼い主だ。死んだら、呪ったろー。ほんとに・・・。
 こうして、はじめてのオイラの冬の時代が続いた。


春、春、春。


 ヤッター!ついに雪が全て解けおったー!バンザイ、チャンチャン、パンパンパン!(踊る、ケンケン)犬小屋のそばに、桜の木がある。桜の花はまだ、つぼみで明日には咲くに違いない。オイラはそれが楽しみにしている。う〜ん、ロマンチックだなァー(犬のくせに、一人前である)この頃はオイラも大きく体が成長した。ご主人が来て、写真を撮った。それがオイラがあおむけになったところをだ!チンチンとタマタマが丸出し状態で「パチリッ」と、一発、やったのだ!おいおい、ご主人・・・。それはないよ〜。みっともないところを、撮らんでほしい。しかし、ご主人はこのショットを新聞社に応募して、な・なんと当選したのだ。新聞に大きくオイラの写真が載ったのだ。あの、秘密の所が丸出しの・・・。でも、人間たちは春ののどかな犬のショットが気に入ったらしい。オイラは、写真を撮ったご主人を横目でにらみつけた。すると、散歩のロープをとりだし、オイラは嬉しく飛び回った。(犬の習性、恐るべし!)鳥が唄う季節・・・。オイラの小屋の上にスズメがとまって、鳴くのだ。うるさくはなかったが、オイラの理性が押さえきれず、捕まえ様とした。こうして、いままで登れなかった犬小屋も今は、登れるようになった。
 そして、次の日。桜はみごとに咲いていた。今日もポカポカ良い天気。オイラは一日中ごろ寝している。それが、オイラの仕事なんだと思う。人間も、春の季節はどう過ごすのだろう?と、いつもいつも考える。春はオイラにとって初めてなのだ。だから、この季節が心地良い季節とは知らず、思わずメス犬のことを思い出した。すると、チンチンがビーンと立った。なぜ、そうなったかわからなかった。とにかく心がウキウキするのだ。


ドッグフードを召し上がれ


 オイラの飯は、ドッグフードという茶色のビスケットみたいな小さく丸い食べ物なんだぁ。とにかく、腹が減ってるし、美味しそうなので食いまくった。全部、食べ終わったら水を一気にがぶ飲みした。すると・・・なんと!腹がパンパンになり、満腹になったのだ。人間の出した食べ物・・・恐るべし!とにかく、この食事になってから、一日一回の食事になった。オイラはもっと食べたいのに、ご主人様は出してくれへん。おまけに、水も食事のときだけ・・・。そんな訳で、雨の日はうれしかった!なぜって?・・・そりゃあ、雨水が飲めるからだワン。何?汚いから止めた方がいい?そんなこと、言ってる場合でない。死ぬか生きるかの、命がけの・・・そう、命がけの雨なんだ。汚いといってられへんわい。
 さっきも言った、ドックフードはビスケットみたいなものの他に、ガムみたいなものがある。人間の食べるガムではなく、犬用です。形は、骨のような形をしてたりステッィクみたいなもんもある。オイラは暇さえあれば噛み噛みしてる。でも、味はいま一つ・・・。あと、缶詰めみたいなもんもあるらしい。ご主人は、それを出した事はない。子主人様と一緒に大人の人間がやってきて、豚骨をオイラにほおり投げた!いやぁー・・・こいつはよだれもんだよぉ〜。ほんまに、うまかった、うまかった、う・ま・か・っ・た・・・!!ささっと、ここで一句・・・。
  犬のエサ なんて素敵な 食事だろ!    (・・・ケンケン・・・。グルメな一句!)
 豚骨はオイラを天国へつれってってくれるくらい、うまかった!いや、ほんとっ!そんで、誰かにとられまいかと穴を掘って、その骨をうめた・・・。が・・・。(キャー)後で食べようと骨を探したのだが見つからない!!ワオォーーン。わ、忘れてしもうたっ(涙)!うっかり、隠した場所がわからなくなったんだ。(真っ青)こいつは、まずかった。印のない所に埋めたんで、わからなくなった。そして、数ヶ月後に骨は見つかった。小さくなった骨が・・(汗)そんなこともあったなぁ〜。


オイラの立ちションベン


 ご主人様と散歩していると、電柱にオシッコを片足あげて、引っ掛ける。オイラの印だ。なぜするかって?縄張りをひろくとるためだ!で、電柱に、臭いを嗅ぐと既にションベンかけた犬もある。そういうときは、引っ掛けない。後でトラブルの元になるからやろ。犬には犬の世界があるのだ。人間達はオイラ達の世界をわかってるんやろか?この木や電柱にションベンをひっかけるのは犬の習性なのかもしれない。が、やめられない。
 「恐怖のオッチャん」の小屋の近くに電柱がある。で、片足上げて・・・(オチャン、ワンワンと吠えながら)ションベンかけます。快感です。オッチャんにションベンをかけたみたいで、おもろいです。終わったらオッチャん・・・涙を流しおった。(カッカッカッ!ザマァーミロー!)そういう、愉快な事もあった。
 公共の所で、人間たちもオイラと同じようにションベンする・・・。なぜだかはわからないが、犬よりも人間のほうが臭い。初心者は止めた方がいい。警察に見つかると、軽犯罪法違反になるからだ。(えっ?犬のくせに良く知ってるって?)飼い主によっては、ウンチをしたまま散歩するひとがいる。そういう飼い主は決まって、夜、散歩に連れて行くんだ。そういう人間も困る。オイラ達にも迷惑な話だ。なぜかって?いまは、アスファルトの歩道だろ?だから、残るんだよ・・・ウンチ。昔のように土の道なら虫や植物の肥糧になってたかもしれないが、今の時代は違うのだ。だから、オイラ達や通行人の事も考えてやってほしい。頼むでぇ〜。


恐怖のネコ(その1)


 野良猫がいる。飼い猫もいる。でも、外にいるときは、ロープで散歩はしない。飼い猫でも、かならず自分で帰ってくるからだ。
 オイラ達は猫が嫌いである。必ず来ると吠えるンだ!猫は自由に行き来できるが、犬はくさりにつながれてるだろう?(家の中で飼ってる犬を除くとして・・・)だから、なんかされると恐い。喧嘩には勝つが、なめられた事をする猫は、一例として小屋の近くでウンチやションベンをするのだ・・・・!まさに、猫の恐怖である。そういうわけで、オイラ達は猫が嫌いである。これは昔、老犬から聴いたのだが犬は猫を捕まえて食べていたそうだ。えさのない野良犬にとっては大事な食料だったそうだ。オイラ、その話を聴いて今のご主人様に感謝してる。いつもいつも、オイラに食事を出してくれて感謝!感激!感動だぁ〜!と。ほんとに、「ありが〜たや、ありがたやー」だ。


恐怖のネコ(その2)


 恐ろしい事が起こった。これは重大事件として犬の世界に伝説として残るかもしれない。な、なんと・・・。犬が猫にやられて、犬が死んだのだ!どう言う事かと言うと、猫が集団で一匹の犬をターゲットに攻撃をして殺し、その犬の餌を食べて逃げたと言うことだ。猫の集団は移動を続けて、オイラ達の街を離れた。犬たちはホッとしたらしい。これが、恐怖の猫集団の伝説である。おそるべし!


「ケンケン」エンディング


 ここまで、オイラの独り言につきあってくれてありがとう。すこしでもオイラ達の気持ち、分かってくれたろか?ん?わからない・・・。まぁ、ええか!でも、犬には犬の世界がある。ルールやマナーもある。そこに人間が侵害してはいけないとオイラは思う。いや、そう願いたい。思えば子犬のときから、ご主人にもらわれてここまで生きてきた。毎日毎日、平凡な生活だがいい犬生だった。これも人間様のおかげかもしれない。
 オイラは思うのだが、人間はどうしてオイラ達、犬を飼っているのだろうか?可愛いからか?寂しいからか?遊び相手がいないからか?んー・・・。ちょっと、オイラは混乱する。でも生かしてくれるだけありがたい。隣に血統証つきのワンコロがおった。だが、人間の家の人が引越しをしたので・・・・その犬は保健所に!・・・強制的に!・・・つれてかれたのだぁ〜〜!!!ひ、ひどいじゃあーありゃぁせんか?それはないだろう?おいおい!!オイラ達犬だよ、犬!動物だよ!あんた、自分がそうなったらどうするか心境を考えてごらん。わかってほしい!オイラ達を殺さないでくれ。もし、捨てるのなら里親を探して欲しい。せめてものオイラの願いだ。
 犬にも、警察犬・盲導犬・救護犬などなど、人間の仕事のパートナーになっている。そういう犬はオイラ、大尊敬してるんだ。そして、オイラも寝てばかりいないで、人間の役にたちたいと思ってる。ほんとうに・・・。


 そんじゃあ・・・オイラ、ケンケンのエッセイをとりあえず終了しま〜す。また、そのうち続きを出すかもしれんので、たまに見に来てー!

ケンケンより。